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『新しい世を見られんのは悔しいが,他のみんながしっかりやるやろ。俺の役目はここまでやった。それだけの話。
ここに至るまでに悔いは無い。やれる事は全てやり尽くした。
先生……俺は生ききったぞ。後は信頼しちょる仲間がやり切るやろ。
先生も俺らに対してそう思ったやろ?必ず俺らの誰かがやり遂げると。
俺の体は今日この刻で失くなる。失くなるが魂は死なんぞ。
来世はもっと……楽しんでやる。』
高杉はみんなに看取られながら逝った。享年二十七。
「おうのさんはこれで良かったんですか?」
おうのは出家しこれから生涯高杉を弔うと言う。
おうのは心配そうな三津に向かって笑顔で頷いた。
「雅様との約束ですので。」
高杉は亡くなる前に,自分が逝っても再婚はせずに高杉家を守ってほしいと文を送っていたらしい。雅はその願いを守るから,おうのに生涯弔う役目を任せた。
実際はそんな美談ではないらしいが,おうのはこれで良いのだと晴れやかな笑顔を見せた。「これも自分で選んだ道です。なので私はこれで満足しております。」
おうのはまだ若い。その上この愛らしさ。他の人とまた恋に落ち,結婚だって出来るだろう。
でもそれをさせないが為の出家だと言う。高杉家の名誉の為。
何が名誉だ。周りからどんな目で見られるかが怖いだけじゃないか?身分に囚われてるだけのくだらない矜持だと三津は腹立たしく思うが,https://www.easycorp.com.hk/blog/profit-tax-return-in-hong-kong/
「私は高杉様に恥じぬよう生きるだけです。」
「そうですか……。」
おうのの表情からして確かに満足なのかもしれない。
自分で選んだ自分の道だから。
おうのがそう言うならそれ以上何も言えない。
だがそれは与えられた選択肢の中から選んだもの。
誰かに与えられた中から選ぶのではなく,その選択肢も自分で創り出せたなら……。
もっと幸せの選択肢があるのではないか。
おうのと話を終えて三津は高杉の墓へと向かった。
「小五郎さん。」
静かに声を掛ければ桂はゆっくり振り返った。三津と目が合うとすぐに微笑んだ。それを見て三津はゆっくり傍に寄った。
「おうのさんとは話せたかい?」
「はい。高杉さんに恥じぬよう生きるだけだそうです。」
「そうか……。結局また犠牲にさせてしまったな……。その代わりここを守る為の手助けはさせてもらうつもりだ。」
「当然です。高杉家の名を汚さん為に出家さすやなんて……。
でもそれを女は受け入れるしか出来ない世なんですね……今は。」
桂はすまないと目を伏せた。桂もやるせなさでいっぱいだった。
「でも私が逝った時は三津はそんな事しなくていいからね?書にして遺しておく。自由に生きられるように。」
真面目な顔でいつもの眼力で言われて三津はふふっと笑った。
「その時どうするか決めるのは私です。
その時を迎える頃には……もう少し女にも選択肢は与えられてますかね?」
「そうだな……。この国はまだまだ変わらねばならん。そんな新しい世を必ず見せるからついて来てくれるかい?」
桂は笑みを浮かべて三津に手を差し出した。三津はしょうがないなぁと言った顔で差し出された手に手を重ねた。
「あなたは言ったやないですか。私も九一さんも一蓮托生やと。それに私にはまだ選択肢はないんでしょ?」
重ねられた小さな手をきゅっと握り,桂はにやりと片口を上げた。
「そうだね。一応君の願いは聞き入れたいし,要望には応えたい。だがこの件に関しては選択肢はないかな。
では,ついて来てもらおうか。九一と一緒に京まで。」
「もちろ……ん?んっ!?京!?」
「京。戻るよ京へ。」「まぁ確かに中心は京ですからねぇ。ですけどねぇ,もっとそう言う話は普段から聞かせといてもらえません?」
「ホンマに九一さんの言う通りです。何の為の夫婦の会話の時間です?
口を開けば浮気してない?癒やしてくれ……他に言う事あったやないですか!」
入江と三津が不満を口にするのを桂は黙って受け止めた。
「荷造りは別にすぐ出来ますよ?短時間で何回もしてきましたからねぇ。」
三津はあの時とこの時と……と指折り数えた。
思った以上に入江は自分を見てるんだと分かって三津は顔を赤くして俯いた。
「今からかわれると指切るんで黙ってて。」
「切ったらまた舐めちゃる。」
「もぉ!思い出させんとってよ!!」
顔を真っ赤にして目を釣り上げる三津をけたけた笑った。
三津は後で絶対仕返ししてやると心に誓った。もれなく仕返しする文の精神が植え付けられている。
出来上がった夕餉を目の前で美味しそうに食べる入江を三津は温かい気持ちで見ていた。
京で暮らしてた時と同じように本当に幸せそうな顔をしている。https://www.easycorp.com.hk/blog/profit-tax-return-in-hong-kong/
『ホンマに九一さんと夫婦になればこんな日が続きそう。』
でも本当に変わらずこのままで居てくれるのだろうか。全く変わらないなんてあり得ない。
桂と自分は変わってしまった。その変化に耐えきれなかった結果が今だろう。
「三津?食べとる時ぐらい難しい事考えんでいい。」
入江の言葉にはっと我に返った。入江は笑って眉間を人差し指でとんとんと叩いている。自分の眉間にシワが寄ってると気付いて慌てて眉間を手で隠した。
「ごめんなさい。食べたらお湯沸かしますね。ゆっくり浸かってください。」
入江は何を考えてるか分かっていそうだから特に何も釈明はしなかった。入江の方も何も聞かず,一緒に入ろうと悪戯っ子のように笑っている。
「一緒に浸かるには狭いですよ?九一さんの膝に座っていいん?」
入江はぽかんと口を開けて持っていた箸を落とした。多分想像したんだろうなぁと思いながら三津は味噌汁を啜った。
「私が悪かった……。お願いやから心臓に悪い事言わんで……。」
「ふふっじゃあお湯沸かしときますねー。」
三津は仕返し成功だとにんまり笑って膳を下げて風呂場に向かった。
入江が湯浴みに行ってる間に片付けをして自分の寝床を整えた。
「兄上,九一さんが来てくれました。一緒に居てとても楽しいです。」
布団の上に正座をして久坂の位牌に話しかけた。
「あの時九一さんを生かしてくれて本当にありがとうございます。」
もしあの時入江が生きて帰って来なければ,一人で阿弥陀寺を訪ねるなんて出来なかった。そうすれば桂とはすれ違いのまま会う事はなく,ただ待ち続ける日々を送っていたかもしれない。
待ち続ける間に新選組に捕まった可能性だってある。そう思えば今は桂を忘れる為に苦しいけれどはっきりと関係を終わらせられて良かったんだと思える。
あのまま待ち続けていたら忘れる事も次へ進む事も出来なかったに違いない。
それこそ会えもしない存在に縛られ続けたままだった。「兄上,私はこうなる運命だったんですよね?」
私を見かねた兄の導きなのかもしれないと三津は思う事にした。そう思う方が気が楽だ。
「三津ー?」
自分を探す声に三津はすぐに戸を開けてこっちだと入江を呼んだ。
「ここ三津が使っとるんか。やけぇ私が客間なんやね。」
そう言えば挨拶しとらんかったと三津の横に座って二人に手を合わせた。
「ねぇ三津。布団持ってくるけぇここで寝ていい?隣りがいい。」
三津は本当に京の生活を再現だと笑って快諾した。そう言ってもらえる自信のあった入江もにんまり笑う。
「そしたら湯浴みしておいで。その間に運んどくけぇ。」
入江は三津を風呂場に行かせて最初は二人で寝る用に敷かれていた布団を運んだ。それから三津と同じように布団に座り込んで久坂の位牌に話しかけた。
「玄瑞聞いたか?三津とあの人の事。先生,私は大事な人の為に幸せな結末にしてやりたい。でもどうしたらいいか全然分からんほっちゃ。」
文の言う通り政馬鹿は色恋には能無しだと自嘲した。女心は永遠に理解できる気がしない。
「ちょっ!何してるんですか!」
どうにか体に隙間を作りたくて足で蹴り上げようともがいてみる。脚丸出しではしたないと言われようが構うもんか。
「だから限界なんてとっくに超えてるって言っただろ。」
「待ってこの状態で喋らんとって。」 https://www.easycorp.com.hk/blog/profit-tax-return-in-hong-kong/
着物越しに吉田の吐息の熱が伝わってきて落ち着かない。とにかく離れて欲しい。三津は足をばたつかせて必死に抵抗した。
「駄目,我慢して。」
吉田はわざと首を横に振って鼻先で胸をくすぐった。思った以上の柔らかい感触に吉田は思わず着物ごと少し食んだ。
「アカン!それはアカン!それ以上はアカンっ!!」
「ねぇもうちょっと可愛い声で喘ぐとか出来ない?」
流石に興が削がれるわと身を剥して呆れた顔で三津を見下ろした。
「酷い……。」
いきなりこんな事されて何故文句を言われなければいけないんだ。目を潤ませ唇を噛み締め悔しさを顕にした。
「……ごめん悪かった。」
吉田は三津を引っ張り起こして謝りながら不貞腐れる三津の機嫌を取ろうと頭を撫でた。
「そろそろ戻るわ。少しの間顔が見られないのは名残惜しいけど。見送ってくれる?」
最後にまた甘えた声で顔を覗き込まれて三津は不覚にもドキッとした。ようやく気付いたがぐいぐい来る吉田よりも少し弱った吉田には心を鷲掴みにされるようだ。玄関まで見送りに来た途端に吉田が何だか今生の別れのような雰囲気を醸し出した。
「来世こそは娶るから。」
「来世ってなんですか。何でそんな事言うの。」
すでに不安なのにそれを増幅させないで欲しい。吉田は悪びれる様子もなく,じゃあ今から嫁に来る?と冗談を言う。
「無茶せんとってって言っても今回は無理ですかね……。」
「大丈夫,桂さんには危険な真似させないから。」
「違う!吉田さんも!」
急に声を荒げて怒りだすから吉田は目を見開いた。それから嬉しそうに細めた。
「心配してくれてんの?ありがとう。俺はお前を置いては逝かないよ。約束する。」
恨めしそうな目で見上げてくる三津の顔を両手で挟んで額をコツンとぶつけた。三津がまずいと危険を察知した時にはもう唇は奪われていた。
『長い!長い!』
吉田の胸を叩いて抗議していた所でガラリと玄関の戸が開いた。
「何……してる?」
冷ややかな声を聞いてやっと吉田は三津から唇を離した。三津は吉田の背後に立つ桂の姿を見て血の気が引いた。
「貴方こそ何してるんですか?藩邸抜け出して。」
吉田は平然と振り返り小首を傾げる。
『最悪や……。』
犯行現場を見られたのに桂に喧嘩を売るような言いぐさ。三津はだらだらと冷や汗をかき,体は小刻みに震えた。
「お前こそ私の家で私の三津に何をした?」
「見ての通りでした。じゃあ三津,すぐに片付けて迎えに来るから!」
吉田はそう言い残して桂の横をすり抜けて走って逃げた。すぐに追いかけようとした桂だったが首を横に振って思い直してから三津の方へ詰め寄った。
「小五郎さ……あの,これは……。」
浮気じゃない信じてくれと言いたいとこだが,ばっちり見られて言い訳のしようがない。
真顔で詰め寄った桂は着物の袖でごしごし三津の唇を拭った。
「痛い!痛い!」
擦り切れるんじゃないかってぐらい擦られた後にまたも両手で顔を挟まれた。怖いぐらいの真顔が迫ってきたかと思えば唇を押し当てられ,吸われた。
「ん!?」
いつもの桂らしからぬやり方に動揺が隠せない。おまけに舌まで巧く使われて失神するほどの衝撃。
『刺激が強い!刺激が強い!刺激がっ!』
うっすら目に涙が浮かんできたところでようやく解放された。当然お怒りであろう桂の顔がすぐ目の前に。
「しっしげっ刺激が……。」
混乱を極めた三津の口からはそれしか出てこなかった。
出来上がった物をせっせと広間へ運んで膳を並べ終える頃にぱらぱらと藩士達が集まってくる。
「三津さんお顔の調子はどうですか。」
「おわ!?びっくりした!杉山さんか。おはようございます。」
背後からいきなり声をかけられ不細工な悲鳴を上げてしまった。
「松助です。」 肉毒桿菌素
「あ,はい。松助さん。顔の調子はいつも通りです。」
やはり呼び方を訂正された。それと顔の調子は可もなく不可もなくだ。多分絶好調と言える日は年に数回訪れるかどうか。
絶好調と言っても別にとびきり美人になる訳でも可愛くなる訳でもない。浮腫もなく目がいつもよりちょっと大きいと思える時が絶好調だ。
「良かったです。もし不調ならアイツら始末しようと思ってたんですが無駄な血を流さず済みそうです。」
「そっそれは良かったです……。返り血浴びた着物洗わずに済みます……。」
『危なかった……。元が良くないからそんなに良くないって言おうと思ったけど止めて良かった……。』
冗談でも言って笑ってもらおうかなんて思ったのを後悔した。ここでは余計な事が命取りになりそうだ。気が抜けないと表情をきゅっと引き締めた。
「そうだな。三津さんの仕事を増やすことはしたくないから無闇に斬るのはやめておく。」
是非ともそうしていただきたい。三津は全力で首を縦に振った。
「特に……畳を汚されるのが一番困るので伝えておきますね。」
サヤの一言に今度は杉山が全力で首を縦に振った。どちらかと言うと仏頂面で強面な杉山をも黙らせて頷かせてしまうサヤの謎が更に深まる。
朝一から物騒な話に巻き込まれてしまった。三津は全力で仕事に取り組んで忘れ去ろうとした。
「三津さんあれで一日保つの?体力。」
「一応壬生でしごかれてたみたいだけど。」
「向こうでもあんなにお御足出してたんですかねぇ。」
入江,吉田,久坂は物陰からこっそり三津の働きっぷりを見ていた。今三津は裾を捲りあげて廊下を雑巾がけしている。
「ありゃ出してたね。桂さんに怒られるのも時間のも……あー……。」
時間の問題だと思った矢先,部屋から出てきた桂と三津は対面してしまった。
「うわぁ。桂さんが眉間押さえて天を仰いだー。怒ってるね怒ってるよねー。」
「九一面白がるんじゃないよ。」
にやにやしながら桂の動きを口にして次は?次は?と展開を楽しむ入江の頭を久坂が小突いた。三人の視線の先の三津はと言うと,あろう事か廊下で正座をさせられている。
「あーあ。あんな所で説教なんていい見世物じゃないか。」
吉田が流石に可哀想だからと助けに行こうとしたが,いいところにサヤと乃美がやって来て三津と桂の間に割って入ってくれた。
「天女と翁が助けに来たからひとまず大丈夫だな。」
今度は桂が乃美に睨まれているのが面白くて入江は喉を鳴らして笑った。
三津は何度かぺこぺこ頭を下げた後,サヤについてその場を立ち去った。そして三津が居なくなった後,今度は桂が乃美に対して何度も頭を下げていた。
「サヤさん助かりました……。」
「いいえ。丁度乃美様から仕事を頼まれたとこだったので。」
新しく仕立てた乃美の羽織を受け取りに行く役目を給わった。
サヤは一緒に出かける為に三津を探していたら廊下で説教されてるのを見つけた。
「掃除してて怒られるとは思いませんでした……。」
「脚さえ出してなければ良かったんですけどねぇ。ほら何処で誰が見てるか分からへんし。」
一応男の巣窟だからねと注意を受けた。確かに壬生でも痛い目を見たから流石に言うことは聞かねばと反省する。
「以後気をつけます……。」
サヤが邪気を含まずにっこりと笑ってくれたのでほっと胸をなで下ろした。
「それにしても乃美様から随分とお駄賃いただいてもたわぁ。」
サヤは袂から巾着を取り出してどうする?と小首を傾げた。
松本の要求はまだ続いた。二つ目、診察で引っかかった者は月に一度医者に見せること。三つ目、湯殿を早急に設けること。四つ目、残飯処理もかねて豚を買うこと。五つ目、桜司郎の診察をするための部屋を貸すこと。
「ぶ、豚だァ!?そんなモン臭えし、第一どうするって言うんですか」
「最終的には食うんだよ。あれは滋養強壮にも良い」
その言葉に土方は絶句した。https://www.easycorp.com.hk/blog/%e9%a6%99%e6%b8%af%e9%96%8b%e5%85%ac%e5%8f%b8%e6%95%99%e5%ad%b8%e9%96%8b%e5%85%ac%e5%8f%b8%e6%b5%81%e7%a8%8b%e9%80%90%e6%ad%a5%e6%95%b8/ 肉を食べると言えば、専ら鹿や猪、鳥である。豚など食べるものではないと思っていた。
「出来ねえかい?」
だが、そのように問われては無理だとは言えない。分かったと声を絞り出した。「後は、」
「まだあるのか」
一体、いくつ要求するんだと土方は目を細める。松本は気にすることなく、懐から扇子を出すと土方に向けた。
「あんたの休息日を設けることだ。今はればたちまち体調を崩すぞ」
その言葉に、土方は心ノ蔵が飛び出るんじゃないかと思うほどに驚く。
土方は数え年で二十七の時に大病を患ったことがあった。大病といっても幾つもあるが、その中でも死病として名高い"労咳"にかかったとされた。
かつて、両親や兄姉を労咳で亡くしているためか、土方の異変に兄姉達は即座に気付いたという。一時は枕元に親族を呼ぶほどに重篤化したが、奇跡的に治癒したのだ。
それもあってか、土方はすぐに体調を崩してしまう。しかし、鬼の副長という建前もあり隊士には気取られないようにしていた。
「……何故、分かったんです?」
土方の問いかけに、松本は気分が良さそうににやりと笑う。
「まず、あんたのその病的な白さだな。呼吸の仕方、脈の不安定さも大病を患った人間のソレだ。後は……経験と勘だ」
幕府の御典医になるだけあって、大した医者だと土方は途端に松本を認める。今まで隠し通して来た為に事情を知るのは近藤、そして地元が同じ井上だけだった。
参ったと言わんばかりに土方は軽く頭を下げる。本来であれば長い月日がかかる筈の土方の信頼を、この松本はたった一度の診察で勝ち取ってしまったのだ。
「……相分かった。条件に付いては善処しましょう。それと、鈴木の診察には私の部屋をお使い下さい。見張りは私が引き受けます故」
そう言いながら、土方は立ち上がる。部屋を出ようとした背に松本は口を開いた。
「土方君。これァ、ただの興味なんだが。何故女の入隊を認めた?ってェ訳じゃあねえんだろう?」
「……覚悟の深さに、男も女も関係ねえと心得ております。それと、そいつはもう武士として扱って頂きますよう頼んます」
振り返ること無くそう言うと、今度こそ土方は部屋を出て行く。松本は楽しそうに笑い声を上げた。
「わはは!良いねェ、覚悟の深さと来たか。やはり新撰組は
ェや」
ある種、時代錯誤に近しい武士道を持ちつつも、近代的な思考も取り入れる人間臭さのある新撰組を松本はいたく気に入る。松本も新撰組幹部も江戸の出であることから、そもそも波長が合っていた。
「さ。最後はあんただ。前を開けな」
そのように言われた桜司郎は戸惑うように松本へ視線を移す。改めて松本良順という人間を見てみると、厳つさの残る坊主頭、上質な羽織に紋付袴。道中脇差を帯刀し、おまけに体格まで良い。その姿はまるで武士の風格すら感じさせた。
袷を握り締めたまま動かない桜司郎へ松本は首を傾げた。
「恥じらっていやがんのか。さっき土方君から言われたろ、武士として扱えと。潔さが肝心だぜ」